当院には常勤の産婦人科医が7名おり、この中には女性医師も複数名おります。
複数の常勤医師がいることで、「自分に合う先生が選べるからいい」「女医さんに診てもらえて安心」といった声をいただくことがあります。
実際に「医師と合わない」という理由で病院を変えてしまう妊婦の方もいらっしゃるようですし、「女性の産婦人科医」を探している方が多い印象はあります。医師の数が多いということは、もちろんそういったメリットもあります。
しかし、当院が多くの医師を常勤させる一番の理由はそこにはありません。
最も大きな理由、それは「安全性を確保すること」です。
産婦人科医は他の診療科に比べて労働拘束時間が長く、当直の回数も多いと言われています。出産は24時間いつ始まってもおかしくはありません。早朝だろうが、深夜だろうが、その時はやってきます。そのことを考えれば、(産婦人科医の激務は)当然ともいえるでしょう。
しかし産婦人科医も人間です。しっかりと休めなければパフォーマンスも落ちてしまいます。当院が多くの医師を常勤させるのは、何よりも妊婦の方が安心して出産を迎えられるよう、万全の体制を整えた結果なのです。
当院には、小児科医や麻酔科医も常勤の医師がおります。
産科の施設で小児科を併設している病院は、実はあまり多くはありません。
小児科医や麻酔科医も常勤でなければならない理由、これも「安全性を確保すること」です。
麻酔科医が必要な場面で最も多いのは帝王切開です。
無痛分娩まで含めると、出産全体の約4割に関与していることになります。
他の施設から一時的に応援要請した麻酔科医に対応してもらうより、妊婦の方のそれぞれの事情をよく知った常勤の麻酔科医が対応することは安心につながります。
また、当院は無痛分娩の夜間対応もできます。
多くの病院では、無痛分娩予定の妊婦が夜間に予定外の陣痛に見舞われた場合、他院への搬送で対応します。
しかし、当院では麻酔科医がスムーズに対応することによって、夜間でも無痛分娩で出産することが可能です。
一方、小児科医は乳幼児の外来がメインと思われがちです。
しかし、それは全体に占める割合の1/3ほどです。
多くは、新生児の管理と異常分娩への立会いになります。
産婦人科医を中心に麻酔科医が素早く対応し、出産後、小児科医が適切に対応する。
この三位一体を実現しているのが、当院の特徴です。
これまで当院で生まれた赤ちゃんは3万人を超えています。
一方、ひとりも母親の命を失わずにこられました。このことは安心安全な出産をなによりも考えてきた結果であり、当院の誇りです。
出産は病気ではありません。ですが、出産が何事もなく済むのは当たり前ではありません。
医学が進歩した今であっても、リスクは至る所に存在します。
そのリスクを限りなくゼロにするために。
できることは全てやる。産前も産後も。
何よりもお母さんと生まれてくる赤ちゃんが安全に、万全の体制でその時を迎えられるように。
母子ともに健やかに。
この医療理念をもとに当院は今も歩み続けています。